長かった大統領選挙戦が、オランド候補の勝利によって幕を下ろした。これは大統領次第で法律が目まぐるしく変わるというシステムに慣れていない在仏日本人にとって、新しく施行される法律に常に注意を払わねばならないということになる。
ところで皆さんご存知だろうか? 外国人(学生・ワーキングホリデービザ以外の場合)は、入国後1年以内にフランスの免許証に変更しないと、国際免許でもフランス国内で運転ができなくなり、教習所から始めなければならないのだ。現在のフランスの免許所持者は3600万人で、毎年150万人が試験にチャレンジしているが、教習所Auto écoleの費用は平均1500ユーロ 近くかかり、若者への多大な負担になっている。このことに第1回投票の2週間前になって気付いた各候補者は、選挙権のある若者へ向けたアピールとして、負担軽減策を相次いで打ち出した。ニコラ・サルコジ候補が「無料化に向けた一歩として筆記科目を高校の授業の中に組み込み、教官に直接学校に来てもらい講義するのが望ましい」と発言すると、フランソワ・オランド候補は「Le service civique(若者が行う社会貢献活動。徴兵制度に替わるものとして始まった)の義務を果たしたものが、無償で免許を取得できるようにするのがよいのではないか」と対抗するといった具合。選挙はオランド候補の勝利に終わったが、新大統領がしっかりと公約を果たすのか、しっかりと見届けたい。
なお法律に関する人伝てのうわさというものは、もう過去の話だったり信ぴょう性に欠けるものが多いので、大使館にしっかりと法律の内容を問い合わせることをおすすめしたい。それを怠ったばかりにフランスで運転することができなくなった友人を、残念なことに私は何人も知っている。(和)