今、フランス国内のポップ・ロック界でジャニス・ジョプリンの再来と騒がれているのが新人女性歌手のイジアだ。父親はジャック・イジュラン、兄はアルチュール・Hという音楽一家の恵まれた環境で育ち、16歳でイギー・ポップの前座をつとめたという実力派。『Let me alone』がヒットした1枚目のライブ・アルバム『IZIA』は、2010年のフランス音楽大賞でロック・アルバム賞と新人ステージ賞を受賞。そして、昨年の11月にリリースしたこの2枚目のアルバム『So Much Trouble』も、今年の同大賞で再びロック・アルバム賞を受賞している。その中の一曲『Twenty time a day』などは、前作と比べややおとなしいフレンチ・ポップス風。
エネルギーの塊のように激しく歌う彼女のボーカルは、70年代のロックを思わせるヘビーなサウンドによく似合うが、ジョプリンの魂のこもった圧倒的歌唱力にはかなわない。けれど、フランスのポップス界には稀な、英語で歌う本格的な女性ロック歌手が誕生したことは確かである。(南)