フランスのテレビでは政治討論番組が盛ん。4月の大統領選第1回投票が近づくにつれますます熱気を帯びてくる。その中ではFrance 5で平日17h30放映の〈C ? dire〉もいいが、おすすめはFrance 3の〈Ce soir (ou jamais)!〉。毎週火曜、夜のニュースに続き22h30頃から放映されている。
司会者のフレデリック・タデイとゲスト5、6人がテーブルを囲んで座る。前半は、時事問題、特に最近は大統領選を中心に討論が進んでいくが、みごとなのはタデイによるゲストの人選というか配役。たとえば前回は、経済学者ジュヌヴィエーヴ・アザン、故ミッテラン大統領の顧問だったジャック・アタリ、『反動的であることの緊急性』を出版したばかりのフィガロ紙のイヴァン・リュフォレ、作家で中学校の教師セシル・ラジャリ,演出家でコメディアンのブルーノ・ガシオ他。タデイは「ゲストに関してブラックリストはないし、テーマにもタブーはない。あっと驚くような考えを持っている人を招きたい」と言う。政治討論というと、対立した論者が口角泡を飛ばし相手の口を封じることに終始しがちだが、この番組では誰から、あるいはどんな視点から批判されるか油断ができない。そこで、ゲストは自分の考えをきちんと展開せざるを得ないし、議論もかみあっていく。タデイのフットワークの軽い司会のおかげもあって、フランス人の間で、たとえば「極右の進出」といったテーマに関しても、いろんな意見があることが、わかってくる。
番組最後の、今話題のミュージシャンによる一曲だけのライヴもいい。(真)