サン・マルタン運河を散歩していたら、何やら見慣れぬものが…。どう見ても男子用小便器(ユリノワールurinoir)としか見えない。運河にはしっくりこない眺めだが、辺りにまき散らされるよりは清潔だし、実用的ではある。
ネットで検索してみると、ラ・ヴィレット貯水池の岸にも同じ移動式ユリノワールが5月末に4つ設置されたという。9月末までの夏の間、市民や観光客に貯水池沿いの散策やピクニックを気持ちよく楽しんでもらおうという考えだ。パリ市に聞くと、立ちション被害の多い、人の集まる場所に夏の間、試験的に設置しており、来年も春夏に実施される予定だとか。公衆トイレとしてのユリノワールは、小型キオスクのような「vespasienne」が19世紀にパリに400カ所も設置されたそうだが、悪臭の問題から次第に今のような男女兼用公衆トイレにとって代わられ、現在残っているのは14区のアラゴ大通りにある1カ所だけ。(し)