
パリ市は10月末から市内3つの墓地の放置された墓を売却するとウェブサイトで明らかにした。購入する人は墓の修復の義務を負う。有名なぺーラシェーズ墓地、モンパルナス墓地、モンマルトル墓地で10ずつ、計30の墓を売り出し、くじ引きで購入者が決まる。
パリ市内の墓は約63万4000基(区画)あるが、すでに20世紀初めには満杯になり、新たな墓を市内に求めることは不可能になった。市内の墓不足の一方で、放置された墓も多数ある。だが、重厚な石造りの神殿のようなモニュメントや墓石は歴史的価値があることから、墓地の所有者であるパリ市は破壊することができない。
そこで、そうした墓を新たな購入者に修復してもらうことを条件に売却する案が今年4月にパリ市議会で可決された。購入希望者は、まず墓復旧を条件に希望する墓を買い、決められた条件と期限で修復を実施したあと、その墓の使用権(コンセッション)(10年、30年、50年あるいは永代使用権)を購入する。
パリ市のサイトには一つ一つの墓の外観と内部の写真や位置、修復の要件、墓区画の価格、使用権価格などが記されている。たとえば、ぺーラシェーズ墓地の2㎡のある墓区画では、修復費用は不明なものの、購入価格4000€に加えて、使用権価格(10年で976 €、 30年で3354 € 、 50年で5260 €、永代使用で1万7 668 €)とある。
もし修復要件や期限が遵守されない場合は購入はキャンセルとなり、購入者はすでに支払った修復費用などを失うことになる。歴史遺産でもある墓は修復費用もかなり高額になると予想されるため、市はあらかじめ墓石業者に見積もりを取ることを応募の条件としている。
市はこうした墓の再利用により歴史的遺産と環境の保護という両方のメリットがあると強調。市の埋葬担当助役によると、募集開始後24時間で約1000回のクリックがあり、関心を持つ市民が多いという。
墓購入の希望者の応募書類提出の期限は12月31日まで。その後、来年1月19日にくじ引きで当選者が決まる。ジム・モリソン、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、スタンダール、ピアフらと同じ墓地に眠るというロマンをかなえたい人は是非応募を!(し)
★この件に関するパリ市のサイト
www.paris.fr/pages/sauver-un-monument-funeraire-en-obtenant-une-concession-32799

