9月21日には22日にフランスが国連でパレスチナ国家を承認するが、イスラエルによるガザ攻撃は続いている。住民の人道状況に国際的な非難が強まるなか、フランスでも国の対応が受け身的だという批判が高まっている。「国際的権利尊重のための法律家団体(ジュルディ/Jurdi)」は9月初めに国を相手取った訴えをパリ行政裁判所に起こした。
ジュルディは弁護士、司法官、国際法の教授や専門家がイスラエル=パレスチナ紛争をきっかけに昨年設立した団体だが、1948年の「集団殺害罪の抑止および処罰に関する条約」(ジェノサイド条約)[日本は未批准]に規定されたジェノサイドの防止や抑止の義務を果たしていない仏国家の怠慢を司法が認定することを目的に提訴した。
ジュルディは、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)が2024年1月、ガザでの「ジェノサイドの現実的リスク」を確認し、イスラエルにそれを回避する措置をとること、他国にはそれに加担しないよう可能な限り予防すべきという判断をしたこと、さらには春にも「ジェノサイドに使用されるリスクを避けるため、紛争当事国への武器移転に関する国際的な義務を思い起こすことが重要だ」と判断したことを今回の訴えの根拠としている。ジュルディはこの件について昨年9月と12月に大統領府と首相府に書簡を送ったが返答がないので、象徴的な1€の損害賠償を求める提訴を決めたという。訴状のなかでは、マルセイユのユーロリンクス社が自動火器用の弾丸をイスラエルに輸出している例を挙げているが、同社は反人道罪・ジェノサイド共犯の疑いで今年6月に仏人権連盟から告訴されている。だが、当時のルコルニュ軍事相は自衛用武器やイスラエルから第3国に転売される武器以外は仏は同国に武器を輸出していないと否定した。
ちょうど今月16日、国連から委任された国際調査委員会が、1948年のジェノサイド条約に照らして、イスラエルがジェノサイドを犯しているとする報告書も出た。この日までに、ガザ保健当局はガザ市民6万4000人が死亡したとしているが、同報告書は住宅や病院などを標的にしたガザ攻撃の犠牲者の83%は民間人であり、子どもを狙う意図も見られるとする。また、イスラエルがガザ住民に飢餓をもたらす政策を中止し、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)をはじめとする人道支援のアクセスを保障するよう勧告。同様に、国連全加盟国にイスラエルへの武器供与をやめることや、何も行動しないならそれは「共犯」に値するとも釘をさしている。
今回のジュルディの訴訟は多分に象徴的な意味合いが強いのだが、国を訴える行為に出るということは、多くの国民が、自国の「傍観」が実はジェノサイドに加担しているも同然という危機感を感じていることを示しているように思う。(し)


