恒例「アニメのカンヌ」ことアヌシー国際アニメーション映画祭(2025年6月8日〜6月14日)は、今年もジャパニメーションが注目の的に。青木康浩(あおきやすひろ)監督『Arco』の審査員賞、折笠良(おりかさりょう)監督『落書』の短編映画オフ・リミッツ賞、木原正天(きはらまさたか)監督『Q』の卒業制作部門-ロッテ・ライニガー賞受賞など、引き続き存在感を誇っていた。
アヌシーの余波でアニメが話題にのぼるこの季節、パリでもアニメの特集上映が続いている。夏休みに家族でお出かけの候補にしてはいかがだろう。
シネマテークは、見ておくべき日本アニメ25作。
LE CINÉMA D’ANIMATION JAPONAIS EN 25 FILMS INDISPENSABLES

現在開催中なのが、パリ・シネマテークの「LE CINÉMA D’ANIMATION JAPONAIS EN 25 FILMS INDISPENSABLES / 25本の不可欠な日本のアニメーション映画」(2025年7月17日迄)。アニメの歴史を語るのに外せぬ傑作を選出した好企画である。大友克洋、宮崎駿、高畑勲、手塚治虫、押井守、りんたろう、今敏、新海誠の作品などなど、アニメ界のレジェンドの作品が揃った。
薮下泰司監督『白蛇伝』(1958年)、山本暎一監督『千夜一夜物語』(1969年)から、フランスで高評価だった山田尚子監督『リズと青い鳥』(2018年)、立川譲監督『BLUE GIANT』(2023年)に至るまで、クラシックから最近の作品までバランスよく網羅。7月6日には、今敏についてのドキュメンタリー作品『Satoshi Kon, l’illusionniste』(7月11日に上映)を手がけた映画研究者のパルカル=アレックス・ヴァンサン氏によるトークセッション(14h30)も。進化を止めないジャパニメーションを俯瞰して楽しめる良い機会だろう。
★現在シネマテークでは、ウェス・アンダーソン監督展も開催中。
記事はこちらから☞ 監督の世界観を支える職人技にも光、パリ・シネマテーク「ウェス・アンダーソン」展。
Le Grand Rex ジブリの3日間
Rétrospective Ghibli

また、7月4日から6日までの週末の3日間、巨大スクリーンが自慢の老舗映画館でもアニメのイベントが。1932年創業のパリ2区 Le Grand Rexでは、ジブリ映画の上映会「ジブリ・レトロスペクティヴ」を実施する。宮崎駿と高畑勲の有名作品15本を一挙上映。これはフランスでも人気のユニクロが、スタジオ・ジブリと3度目のTシャツのコラボレーションを記念した企画だ。
とりわけ初日の7月4日は、『レッドタートル ある島の物語』の上映前に、11hから本作のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督、鈴木敏夫プロデューサー、ファーストリテイリング社の柳井康治取締役のトークセッションがある。柳井氏といえば、ヴィム・ヴェンダースの『PERFECTDAYS』を製作したり、ケイト・ブランシェットらとともに難民映画基金を発足させるなど、映画分野に並々ならぬ支援をしており、今後はアニメ製作も期待したいところだ。(瑞)
RÉTROSPECTIVE GHIBLI
Le Grand Rex :
1 bd Poissonnière 2e
M°Bonne Nouvelle
www.legrandrex.com
ジブリの3日間のページ☞ www.legrandrex.com/cinema/5051
★ル・グラン・レックスの歴史、社長インタビューなどは、こちらのページから。

Cinémathèque Française
Adresse : 51 rue de Bercy, 75012 Paris , Franceアクセス : Bercy
URL : https://www.cinematheque.fr/cycle/le-cinema-d-animation-japonais-en-25-films-indispensables-1400.html
7€/5,50€/25歳以下4€。火休。
