
昨今、観光大国フランスでも、VRの技術を使ったバーチャルツアーが多くなった。美術館や博物館での使用が目立つが、まだ室内仕様が主流だという。だが、Timescope 社が提供するVR「パリのシンボル Le Symbole de Paris」は、屋外で楽しめるもので他と差をつける。
オヴニーでは昨年、同コンセプトの第一弾VR「パリの起源 Les Origines de Paris」を紹介した。こちらはパリの発祥地、シテ島周辺のセーヌ河岸を歩きながら、映像とともに壮大な歴史を体感するものであった。
今回の主役は “パリのシンボル”こと、エッフェル塔。参加者はヘッドホンとゴーグル風のディスプレイを装着し、ガイドさんに導かれながら、約1時間の歴史の旅に出発する。“鉄の貴婦人”の足元に広がるシャン・ド・マルス公園内の15地点で、時代が異なる短いエピソードの映像を鑑賞していくものだ。

プロローグは2千年前から。VRが映し出す映像は、見渡す限り草に覆われたグルネル平原。私たちが知る都会のパリとは、ほど遠い光景である。
その後はフランス革命やナポレオンの治世など激動の時代を経て、エッフェル塔が誕生するきっかけとなった1889年のパリ万国博覧会のベルエポックに入る。エレガントな衣服を身にまとう市民、活気あふれる博覧会会場やエッフェル氏のアトリエ、塔の鉄骨が空に伸びゆく過程などが、ナレーションとともに眼前にありありと再現される。自分の今いる場所で起きた歴史を、映画を見るように追体験できるのが感慨深いのだ。VRは360°の視野が楽しめるので、一ヵ所ばかりを凝視せず、ぐるっと周囲を見渡すことを忘れないようにしたい。

Timescope 社は幼なじみのアドリアンさんとバジルさんが共同創業者。歴史好きの2人はポンペイへの旅行の後、VRを通した歴史散策の可能性を模索。約10年の構想を経て、実現に至った。歴史家たちも監修に加わり、史実も信ぴょう性も確保した。
ツアー中に語られるエピソードは、重要だが、意外と知られていない話題が盛り込まれ、興味が尽きない。例えば、エッフェル塔と最後までライバルとなった塔はいかなるものだったか。あるいは、万博後に取り壊される予定だったエッフェル塔はなぜ生き残ることができたのか、などなど。ぜひこの散策を通して、パリの裏歴史も発見してほしい。
現在ナレーションの言語は仏、英、スペイン語。ガイドが話すのは主にフランス語だが、基本的に英語での対応も可能。1時間。対象年齢は8歳からとなっている。(瑞)


Le Symbole de Paris
Adresse : 12 rue Dupont des Loges(集合・出発場所), 75007 Paris , Franceアクセス : Alma–Marceau / La Tour-Maubourg / École Militaire / Pont de l’Alma
URL : https://symboledeparis.timescope.com/
月と火は休み。水〜日の10h-18h30。28€ (16歳以上)/ 25€(65歳以上、学生ほか)/ 19€(8歳〜15歳)



