ユネスコ世界遺産プロジェクト
”Mégalithe de Carnac et des rives du Morbihan”
ブルトン語で 「小さな海 Mor-Bihan」を意味するモルビアン湾。その入江に浮かぶ島と沿岸には、 新石器時代に造られたドルメン (支石墓)、メンヒル(単一で直立した巨石)、cairn (石塚)やtumulus (土墳)と呼ばれる墳墓などが多数ある。有名なカルナックの列石群もその一例だ。
国の歴史的記念物として登録されているものだけで157、登録されていないものも含めると550ほど。これらを「カルナックとモルビアン湾の巨石建造物」としてユネスコの世界遺産に登録させる計画が進行中だ。そのうちのひとつ、モルビアン湾内に浮かぶ島のひとつ、ガヴリニス島へ、ケルンを見に行こう。
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【特集】ヴァンヌとモルビアン湾、以下もあわせてお読みください。
〈その1〉海と町がひとつになった町、ヴァンヌ。
〈その2〉ヴァンヌから、船に乗ってモルビアン湾の島へ。
レストラン:魚市場の賑わいで、ミュスカデで焼き魚。
散策:ブルターニュ公の海辺の城、シュシニオ城。
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île de Gavrinis ガヴリニス島
6千年前に刻みこまれた、模様の意味は?
ガヴリニス島には、石を積んで造られた墳墓(cairn /tumulus) がある(写真上)。船で島に上陸し、ガイドさんに案内されて小高い丘に登ると土墳のように土が盛りあがっているように見えるが、反対側にまわると石が積み上げられて出来ているのがわかる。そこに小さな入口(間口1.5mほど、高さ140cmほど)があり、墳墓内に奥行き14mほどの細い廊下があるのが見える。
その奥に墓室がある。廊下も墓室も全体が大きな岩盤で覆われ、その一枚一枚に波や同心円の模様が刻まれている。指紋か、蝶か…模様の意味には諸説あるが、死者をあの世に送り出す波や水という説が有力だ。
墳墓内部には一枚だけ、何も彫られていない水晶の岩盤がある。冬至の朝は陽光がこの石を射し墓内部を照らすそうだ(冬季なので見学不可)。6000年前の有力者の家族の墳墓だという。
ラスコー洞窟のように、本物を保護するためにレプリカを造り、そちらだけを一般公開することも検討されているというから、本物を見たい人は急ぐべし。船と見学をセットで予約する。
▶︎ヴァンヌからの行き方
ヴァンヌの町のなかにあるバスターミナル Libération から23番のバスで、ラモール・バデンLamor-Baden下車 (所要時間約40分)、バス停からラモール・バデン港まで徒歩7分。
ガヴリニス島のチケット予約(船の往復と墳墓見学とガイド込み):
02.9757.1938 https://cairndegavrinis.com 19€/8€/4€
所要時間は船の往復と見学で約2時間。
備考)港には、どの船がいつ発着するなど、看板ほか表示がほとんどない。そのため自分も不安だったが、港で船を待っている人たちは皆不安そうで、船が着くたびにそこに人だかりができて、船頭さんに行き先や出航時間を聞く、という感じだった。港で船待ち顔の人がいたら気軽に声をかけて情報交換しよう。
ラモール・バデン港のようす。
カキ養殖業者のところへカキを食べに行こう。
Baden – Pointe de Toulvern
モルビアン湾内では80ほどの業者、350人ほどがカキ養殖に携わっていて、一年中おいしいカキを食べることができる。湾は島や岬に囲まれているため筏の環境が安定し、大西洋からの海流が栄養豊富な水をもたらしてくれるため、牡蠣の養殖に適しているのだそうだ。
ならばカキ小屋でカキを食べに行こう。ヴァンヌの町のなかからバスでバーデンへ。ポワント・ド・トゥルヴェルヌと呼ばれる岬まで車なら5分、徒歩なら30分。
● L’Huitre La Toulverne :Pointe de Toulvern 56870 Baden
【ヴァンヌからの行き方】
Vannes の Liberation バス停留所から21番のバスでBaden-Centre下車。
Route de Toulverneをまっすぐ30分歩いて突端まで行くとカキ小屋がある。
9/30まで:
モルビアン湾での牡蠣養殖についての話を聞きながら牡蠣を食べるクルージング。
天気がかわりやすいので、船に乗るときは雨合羽を持参。
料金 : 大人45€ / 12歳未満は25 €
Infos & 予約 reservation.golfedumorbihan.bzh
Tél : 06.0459.6828 / 02.9757.0019
île de Moines – 僧侶の島
モルビアン湾に浮かぶ最大の島で600人ほど住人がいる。モワンヌ島は直訳すれば僧侶の島。かつては修道院がこの島を所有していたことに由来する。島にはメンヒルが24、環状列柱も点在し、Pen Hapのような5000〜6000年前の巨石ドルメンもある。島にはレンタサイクルがあり、サイクリングコースは2kmから10kmまで4つのコース。
ヴァンヌの町のなかにあるバスターミナルLibérationから23番のバスでBaden Port Blanc下車。Port Blancからは、モワンヌ島へ向けて船が30分毎に出る。所要時間は5分。往復6€ (自転車の追加料金は5€ )。
île d’Arz – アール島
モルビアン湾内ではモワンヌ島に次ぐ2番目の規模の島で住民は260人ほど。ヴァンヌの船着場(gare maritime)から島民が日常的に使うバトービュス(船バス)に乗れば30分ほどで島の北部に着く。
330haの島の中心には、「船員と船長のミュージアム」があり、18〜19世紀の漁師、航海の様子や島民の生活などを資料から知ることができる。また、今年はアーティスト、ダニエル・ビュランの作品展(屋外)。ハイキングコースは17kmと10kmがあり、歩いているとドルメンなどもみることができる。
【ヴァンヌからの行き方】
国鉄Vannes駅前からバス7番で、Parc du Golf下車でgare maritime (船着場)に着く。ほぼ1時間に一本Bateaux-Bus (往復12.8€/7.5€ )が発着。予約不要。
時刻表 www.ile-arz.fr/horaires
île de Moineとîle d’Arzの情報は、地図、宿泊案内、貸し自転車情報などが掲載されているものがサイトからダウンロードできる。
www.golfedumorbihan.bzh
【パリからヴァンヌVannes への行き方】
・パリ・モンパルナス駅からVannesまで直通電車で2時間半〜3時間。1日に10本程度。
駅およびバスターミナルから町の中心までは徒歩15分ほど。観光局のある港へは20分ほど。
・長距離バスならパリから6時間40分 (ターミナルがヴァンヌ鉄道駅前で便利)。
FlixBusのサイト(ナント乗り換え)
BlaBla Car Bus