「仏演劇界のゴールデン・ボーイ」の異名を取るのがアレクシ・ミシャリク。2021年冬から上演が始まった『Les Producteurs』は、モリエール賞で2部門(ミュージカル・スペクタクル賞と新人男優賞)を獲得し大きな話題に。先ごろ上演延長が決まったばかりだ。
原作は1968年のメル・ブルックスによる同名カルト映画(邦題は『プロデューサーズ』)。2001年にはブルックス本人がブロードウェイ・ミュージカルとして蘇らせ、トニー賞で史上最多の12部門を受賞。この有名過ぎる作品を扱うプレッシャーもどこ吹く風、1982年生まれのミシャリクは、初の仏版アダプテーションの演出を堂々とこなしてみせた。
物語の基本は変わらない。落ちぶれた演劇プロデューサーが会計士と手を組み悪巧み。駄作ミュージカル『ヒトラーの春』を企画し保険金詐欺を狙うが、その興行の行方とはいかに?
徹底したバーレスクと諧謔。鮮やかな衣装やセットで、スパンコールを散りばめたようなステージの夢が展開。人物設定やユーモアには少々時代も感じるが、ミュージカル文化がまだ発展途上のフランスで、ひとまず憂さを忘れて、歌ありダンスありの愉快なステージを楽しみたい人にお勧めしたい。
なお、ミシャリクの劇作家の真の才能を感じたいなら、上演中『Le Porteur d’Histoire』が良いだろう。また、自身の戯曲の映画化で、本人が監督&出演する映画『Une histoire d’amour』も4月12日から公開される。(瑞)
Théâtre de Paris
Adresse : 15 Rue Blanche, 75009 ParisTEL : 01.8647.7249
URL : https://www.theatredeparis.com
6/25まで。 水〜日、 20h (日は16h)。 20-80€。