Les Tribulations d’Erwin Blumenfeld, 1930-50
モード写真で知られるアーウィン・ブルーメンフェルド(1897-1969)だが、プロとして写真を撮り始めたきっかけは、オランダ在住時代に自分の革製品の店の経営が傾き、店の奥で客の肖像写真を撮るようになったことだという。
ベルリンの裕福で教養あるユダヤ人家庭に生まれ育ち、10歳の時に写真機をプレゼントされた。ずっと趣味で写真を撮っていたが、画家ジョルジュ・ルオーの娘ジュヌヴィエーヴが新婚旅行でアムステルダムへ赴いた際に彼の写真を発見し、パリの芸術家サークルに紹介したのが縁で、1936年にパリに移住した。
パリでは暗室で実験を重ねながら芸術的な写真を制作した。シュールリアリズム風にすでに政権を握っていたヒトラーと動物をコラージュした「独裁者」などもこの頃だ。モード写真で人気を得たものの、戦争が始まるとパリはドイツ軍に占領される。そして、彼も”望まれない外国人 étranger indésirable”として、フランスやモロッコの収容所に送られてしまう。人に夢を与えるような作品と同時に、タイトルのとおり「苦難の時代」の作品も見せる展覧会だ。
幸い米国へ亡命することができ、ふたたびモード写真家として注目を浴びた。初公開となる南仏サント・マリ・ド・ラ・メールのジプシーたちの写真のようなルポルタージュも見られるいい機会だ。3月5日まで
Musée d'art et d'histoire du Judaïsme
Adresse : Hôtel de Saint-Aignan, 71 rue du Temple, 75003 Paris , FranceTEL : 01 53 01 86 53
アクセス : Rambuteau / Hôtel de Ville
URL : https://mahj.org/fr
月休。火木金11h-18h、水11h-21h、土日10h-19h 10€/7€/5€(欧州在住の18-25歳)