Les Fines Gueules 長門 嘉仁さん(36歳)
コロナ禍をきっかけに、仕事に対する考え方が変わった人は多いようだ。1区ヴィクトワール広場そばのビストロ 「レ・フィーヌ・ギョル」のシェフ、長門嘉仁さんもその一人。来仏以来、10年ほど高級レストランで経験を積んだが、複数人で作る豪華なガストロノミック料理ではなく、自分で作る「ふつうに食べておいしい料理」を提供したいと考えるようになった。
浜松出身。父親も料理人だ。幼い頃から食べることが大好きで、父が働くフレンチレストランで食事するのが楽しみだった。高校卒業後は、自然と料理の道へ。上京して、トロワグロ出身のシェフの店で6年間働き、技術を身につけた。仕事を続ける中、魅了されたのはフランスの郷土料理。「本場ではどういう食材を使っているのか、現地の味を知りたい」と2011年にパリに来た。
パリでは、ル・ブリストル、クリヨン、ジョルジュ・サンクなど、高級ホテルを中心に経験を積んだ。コロナ禍の時期は、3区レ・ザンファン・デュ・マルシェでテイクアウト料理などを手がけ、またプライヴェート・シェフの仕事も個人で請け負った。
「狭い場所でどうやっていいものを出すか、効率的に料理し提供するか。良い訓練になりました」。今年5月から、現在の店のシェフに。「品質の高い旬の食材を使うので、手を加えすぎず、シンプルな“何を食べているのかがわかる”料理を心がけています」。大切にしているのは「フランス料理の基本」。
「ベースがあってこそ、アレンジができる。基本を知っているかどうかで、料理は大きく変わってきます。今の店はビストロ料理ですが、ソースもしっかり丁寧に作っています」。将来は、お客さまの顔を見ながら料理を作れる、自分の小さなレストランを開きたいという。 (恵)
Les Fines Gueules
Adresse : 43 rue Croix des Petits Champs, 75001 Paris , FranceTEL : 01.4261.3541
アクセス : M°Bourse / Les Halles
URL : https://lesfinesgueules.fr
月〜金:12h-14h30/19h-22h30、土日休。 ランチメニュー:23€〜。ディナー:ア・ラ・カルト前菜12€〜、メイン20€。