ブリュッセルで今日開催された欧州理事会で、欧州27カ国はウクライナとモルドバを「EU加盟候補国」と承認した。ゼレンスキー大統領はこの決定を「ウクライナ独立以来の、最も重要な決定のひとつ」と讃えた。
ゼレンスキー大統領はロシアの侵攻開始から4日後に、EU加盟のための特別措置をとるようEUに要請し、3月に正式に加盟を申請した。とはいえ特別措置などはなく、「加盟候補国」となり、国内で改革をすすめながらEUとの加盟交渉を続けなければならない。これが長くて数十年かかる場合もあれば、解消されることもあるという。ウクライナの場合、汚職、マネーローダリング、政治権力に大きな影響力を持つ新興財閥オリガルヒなどの問題がある。他加盟国との所得格差も大きい。「加盟候補国」としての承認は長い道のりの第一歩に過ぎないが、ロシアに対する強いメッセージでもある。
6月16日、マクロン大統領は独ショルツ首相、伊ドラギ首相と共にウクライナを訪れ、現地で合流したルーマニアのヨハニス大統領とウクライナ大統領府でゼレンスキー大統領と会談した際、ウクライナをEUの加盟候補国として直ちに認める意向を示した。会談後の5カ国首脳の集合写真は、欧州のウクライナ支持の姿勢を強くアピールする象徴となった。
17日午後には、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長も会見で「ウクライナを加盟候補国として認めることを欧州理事会に勧告する」と承認を促した。その際に「ウクライナの人々が、EU加盟のために命を捨てることも辞さないことを我々は知っている」と言ったが、現在もウクライナが多くの死者を出しながらも戦い続けるのは自由と民主主義を守るためであって、そのひとつの帰結がEUの加盟だ。
承認を受けてマクロン大統領は「私たちの価値観を、国の主権と国土を守っているウクライナの人々のために、この決定は下されるべきものだった」と語った。