国民議会議員選挙(総選挙)の決戦投票が6月19日に行われた結果、与党連合「Ensemble(共に)」が第1党の地位を維持したものの、単独過半数を失った。左派連合 Nupes が第2勢力、極右の国民連合(RN)が第3勢力に躍進した。
マクロン政権を支える与党連合が改選前の355議席から大幅に後退して246議席となり、単独過半数(289議席)を失った。Nupesは142議席*と健闘。予想された20~45議席を大きく上回る89議席を獲得したRNは改選前の8議席から大きく躍進した。自らも61%の得票率で当選したルペン党首は当夜、「不公平な選挙制度を克服して、国民が意思を表明した」と勝利宣言。共和党LRと中道右派UDIの連合(LR-UDI)は64議席とRNに追い越されて第4勢力に後退した。
与党連合はフェラン国民議会議長、国民議会の共和国前進(LREM)会派議長のカスタネ―ル元内相がそろって落選。単独過半数を割ったことで、年金改革など一部の政策では共和党の支持を得られる可能性はあるが、さまざまな面で政権運営が困難になりそうだ。ボルヌ首相ら多くの政府閣僚は当選したが、ドモンシャラン環境相、ブルギニョン保健相、ブナン海洋担当相は落選したため、ある程度の内閣改造も予想される。
「服従しないフランス」党(LFI)のメランション氏は、「マクロン大統領の政党の大敗北」と形容した。予想よりやや下回ったものの、左派連合Nupesの中心勢力であるLFIは改選前の17議席から72議席に大きく伸ばした。社会党は24、共産党12議席とほぼ改選前のレベルを維持したが、ヨーロッパ・エコロジー=緑の党(EELV)は左派共闘が幸いして改選前の無議席から23議席に。左派連合が野党の最大勢力として、今後どこまで政府の政策に圧力をかけられるか注目したいところだ。
投票率は46.23%と、第1回投票の47.51%からさらに低下した。(し)
* この数字はル・モンド紙の数字。内務省の公式発表では131議席。
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