ファッションデザイナーのピエール・カルダンさん(98)が、12月29日朝、パリ近郊ヌイィー市の病院で亡くなった。1922年イタリアはヴェネチア近郊に生まれ、2歳の時に両親とともにファシズムを逃れフランスに亡命。サンテティエンヌの仕立屋で研修、ヴィシーの赤十字で会計士などの仕事をした後、1945年パリに上京した。
パカン、スキャパレッリ、ディオールなどのメゾンでの経験を経て、1950年に自分のメゾンを設立すると、未来からやってきたような新素材、色、形のデザインで一世を風靡。特権階級のものだったモードをプレタポルテによって幅広い人々に発信し、日本人を含む様々な人種のモデル起用、男性ファッションも手がけるなどモード界に革新をもたらした。120カ国でライセンスビジネスを展開するなど、商才も発揮。最後まで現役だった。初めて日本を訪れたのは1957年だという。
メゾン設立70周年の今年は「97年間の人生を97分に凝縮した映画」『Pierre Cardin』(邦題 : ライフ・イズ・カラフル!未来をデザインする男ピエール・カルダン』P・デビッド・エバーソール&トッド・ヒューズ監督)が劇場公開になった。同時に「芸術界のパトロン」として、南仏の小さな村のシャトーを買ったカルダン氏が住民たちに反感を買うドキュメンタリー映画「Cyril contre Goliath(シリル対ゴリアテ)」も公開された。