女性と自転車
『少女は自転車にのって(仏題は Wadjda)』はサウジアラビア映画。主人公ワジュダが隣の家の男の子のように自転車に乗りたいといっても「女の子のすることじゃない」と一蹴されるため、自分で自転車を買おうと、苦手なコーラン暗唱の賞金付きコンテストに挑戦する物語。
フランスとて時代をさかのぼれば同じことだった。女性が自転車に乗るのは自慰行為であるとか、出産に悪影響があるなどと言われ白い目で見られた。かつて女性は家に縛られることが多く教育、職業、政治活動などから疎外されていたが、自転車を得た女性たちは、コルセットを外し、長く重いスカートから解放され、キュロットスカートを身にまとって走った。初の女性の自転車レースが行われたのは1868年ボルドーでのことだという。
1936年、バカンスと自転車とフロン・ポピュレール
ファシズムが台頭しドイツでナチスが政権をとった30年代は、フランスでも右翼団体が議会を襲撃するなどの事件を起こしていた。社会党・共産党・急進社会党に知識人、労組、人権連盟、青年婦人運動などが加わり、民主主義を守るため「フロン・ポピュレール(人民戦線)」が形成された。
これが1936年に政権をとる。社会党レオン・ブルムを首相とする内閣は、週40時間労働、フランスでも初めて年2週間の有給休暇を定める法律を導入し、労働者階級にもバカンス、レジャー文化が広がることとなった。パリからもタンデムに乗ってセーヌ川のほとりで休暇を楽しむ家族の姿が見られるようになり、タンデムは始まったばかりのバカンス文化の象徴のようになった。60年代末に4週間になった有給休暇は81年社会党が政権をとると、5週間に。
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