Les Musiciens de Saint Julien “The High Road to Kilkenny”
バロックフルートの名手として知られていたフランソワ・ラザレヴィッチは、ルネッサンス、中世の音楽までさかのぼっていくと「踊り」が核にあることに開眼する。「音楽の中にある動きを感じてもらいたい」と2006年に、バロック音楽畑の音楽家を中心にレ・ミュジシアン・ド・サン・ジュリアンを立ち上げる。17、18世紀に作曲されたスコットランド音楽、アイルランド音楽を集めた『For Ever Fortune』、『The High Road to Kilkenny』というアルバムに、彼の意図がみごとに実現している。
2年ほど前にベルギーのゲントで彼らのアイルランド音楽を聴いた。ハープのピッツィカートにのってフルートが歌い出したとたん、会場の空気がくつろぎ、喜びにあふれた。古楽器の典雅な響きに酔いながら体を動かすぜいたく!
コロナ禍で当分コンサートはないけれど、YouTubeで2018年のライブを満喫できる。アンブロネーのバロック音楽フェスティバルで収録された『For Ever Fortune』ライブで、スコットランド18世紀の音楽を主に演奏。新しく入ったヴァイオリンのオーギュスタン・リュッソンの、心の中に踊りが息づいているような演奏にも注目!(真)