大きく開かれた窓から見えるニースの海、草木あふれる室内の情景…。晩年の有名な作品のイメージとは裏腹に、フランスを代表する画家アンリ・マティスはベルギー国境まで20kmもない北の町、ル・カトー・カンブレジに生まれた。今から150年前のことだ。
その町のマティス美術館で大規模な展覧会が開催されている。「Devenir Matisse/マティスになる」と題された展覧会は、彼が絵を始めてから「画家アンリ・マティス」として名を成すまでの、1890年から1911年に光をあてた。生まれ故郷での回顧展にふさわしいテーマのこの展覧会では、遅くに絵を始め、何度も挫折を味わいながらも自分の道を探求した若いマティスに会える。そして徐々に、鮮やかに、作品が変化してゆくのを見ることができるのだ。人口7千人の、小さな、静かな町の美術館に、国内のみならずニューヨーク、ロンドン、モスクワなどの名だたる美術館から世界初公開の作品10点も含む250点が一堂に集まった。展覧会を堪能したら、当時の面影をとどめる町を、マティスになる前のマティスとともに歩いてみよう。(集)
取材・文:羽生のり子、編集部
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