Sélestat
モミノキのクリスマスツリー発祥の町。
アルザス中部のセレスタはモミノキのクリスマスツリー発祥の地と言われる。アルザスで聖なる木とみなされたモミノキをノエルの装飾に用いるようになったのは15~16世紀にさかのぼる。
それを記述した最古の文書は、セレスタの人文主義図書館(下に説明)に所蔵される町の会計簿に見られる。1521年12月21日の欄にクリスマス装飾用のモミノキ伐採を監視する森林監視員に4シリング支払ったという記述だ。
モミノキは当初、赤リンゴで飾られ、後に聖体のパン(hostie)で飾られてまず教会に置かれた。その後、次第にアルザスの家庭に普及していったという。パンはアニス菓子に、19世紀頃から赤リンゴはガラスの玉に、20世紀にロウソクは電気のガーランドに取って代わられた。
セレスタのサン・ジョルジュ教会では、各時代のツリーの装飾の変遷を毎年ノエルの時期に展示している。
● Eglise Saint-Georges
Place Saint-Georges, 67600 Sélestat
モミノキツリーの歴史の展覧会。11/26~1/8。
毎日9h-18h (金-日は-19h)
12月1日号は、「ノエルに輝くアルザスへ。」特集、以下もあわせてお読みください。
《その1》Couronne de l’Avent 「リースに火を灯しながら待つノエル。」
《その2》Bredele「ノエルのために焼くけれど、ノエル前になくなるお菓子。」
《その3》L’étoffe de Noël 2022「今年のノエルの布」、発表!
《レストラン》「Au Soleil」アルザスの小さな村の、家族経営レストラン。
Bibliothèque Humaniste
セレスタ人文主義図書館
1452年に創設された文庫には、セレスタ生まれの16世紀の人文主義者ベアトゥス・レナーヌス (1485-1547)の蔵書 (中世のマニュスクリプト154点と15~16世紀の印刷本1611点)を所蔵・展示する。ユネスコの 「世界の記憶」に登録されている貴重な所蔵品だ。
1889年から、穀物庫だった建物に文庫がはいった。2014年から4年間にわたる改修は、人気建築家ルディ・リチオッティ(マルセイユのMucem地中海文明博物館や、オーベルヴィリエのシャネル社のM19など)に託された。
● Bibliothèque humaniste de Sélestat
*モミノキ記述文書の展示は11/26~12/31 (12/25、26は休館)。
1 place Dr Maurice Kubler 67600 Sélestat
Tel :03.8858.0720
開館時間:10h-12h30 / 13h30-18h
入館料:6€ / 4€(7-17歳) / 7歳未満、障害者は無料。ガイド付きは+2€。
アルザスのノエルの主要人物とは?
クリスマスと言えば、真っ先に思い浮かべる人物はサンタクロース (仏語はPère Noel)だが、このサンタクロースは古代の伝説に由来し、貧しい娘に施しを与えた聖人 「ミラのニコラオス」がモデルだという説がある。この伝説が欧州からアメリカに渡り、赤い服をまとって子どもにプレゼントを配る現代の姿となって20世紀初めに欧州に戻ってきたのだそうだ。では、アルザス地方独特のノエルの人物とは?
Saint Nicolas
サン・ニコラ(聖ニコラ)
アルザス地方ではサンタクロースよりもサン・ニコラ、つまり聖ニコラオスのほうがなじみ深い。落穂拾いをしていた3人の子どもを殺して塩漬けにした肉屋の行為を7年後に暴き、子どもを生き返らせたという伝説だ。こうしてサン・ニコラは子どもの守護聖人とされ、12月6日にはいい子たちにオレンジやパンデピス、マネル (人の形をしたブリオッシュ)を配りに来ると言い伝えられる。
Christkindel クリストキンデル
宗教改革者ルターが聖人崇拝を禁じたため、プロテスタントの間でサン・ニコラに代わる人物としてクローズアップされたのがクリストキンデル(幼子キリスト)。スカンジナビアでクリストキンデルは、聖ルチアの伝説に基づいて4本のロウソクを立てたリースを被り白い服を着た女性の姿をしている。16世紀後半にプロテスタントの影響を受けたアルザスでは、白い衣装をまとった若い女性がクリスマスイブによい子にお菓子などを配る。
Hans Trapp ハンス・トラップ
この人物は15世紀末にアルザス最北のヴィッセンブルク近くにあったベルヴァーシュタイン城の城主で残忍と恐れられた人物ハンス・フォン・トロッタをモデルに、黒いあごひげをはやしたぼさぼさ頭の男性として描かれる。その人物はハンス・トラップと呼び慣らされ、クリスマスイブに各家を訪れ、聞き分けのない子をつかまえて森に捨てたり、鞭で打つと恐れられる。
アルザスのノエル情報
● Navettes de Noël du Pays des Etoiles
コルマール発着、ノエル・シャトルバス!
11/25~12/18の期間限定で、鉄道コルマール駅から周辺の村々を巡回するシャトルバスが運行される。5路線あり、伝統的なノエル市や、伝統衣装を身につけた人によるスペクタクル、クレッシュ(キリスト降誕場面を表す模型)巡りなどができる。
美しい村々のノエルを満喫しに行こう!
1番線:Colmar • Kaysersberg • Riquewihr • Ribeauvillé 金土日のみ
2番線:Colmar • Ribeauvillé • Riquewihr • Kaysersberg 金土日のみ
3番線:Colmar • Eguisheim 毎日
4番線:Colmar • Turckheim • Gunsbach • Munster 金土日のみ
各線とも10€。路線内は乗り降り自由。
予約はwww.navettedenoel.fr
● www.noel.alsace
アルザスのノエルに特化したサイト。
● Office de Tourisme
・アルザス地方観光局 www.alsace-destination-tourisme.com
・ストラスブール www.visitstrasbourg.fr Tél:03.8852.2828
・コルマール www.tourisme-colmar.com Tél:03.8920.6892
・ミュールーズ www.tourisme-mulhouse.com Tél:03.8935. 4848
・セレスタ www.selestat-haut-koenigsbourg.com Tél : 03.8858.8720
● Marché de Noël alsacien à Paris
パリでもアルザスのノエル市!
12/16までパリ東駅前にアルザスのノエル市。地元以外で開かれる最古のアルザスのノエル市は、今年40年目。現地直送の物産品がそろう。
取材・文 : 編集部、児玉しおり
取材協力: Alsace Destination Tourisme
アルザス地方観光局