バレンシア在住の美術家カップルが息の合った2人展を開催中。
マルセロ・フエンテスの作品は屋外風景だ。グラファイト(芯鉛筆)で描いたデッサンは、地中海の光と影がバレンシアの近代建築に描き出す抽象的な美を表現している。このギャラリーで別のアーティストと2人展を行った時も、建築画が印象的だった。今回は、波が散る岩や静かな浜辺を描いたミニマリスト的な水彩画も出展している。ジャクマール・アンドレ美術館で見たターナーの水彩の記憶が重なる。
地下の展示室はローザ・アルテロの室内デッサンと油彩(冒頭の画像)だ。人がいる風景では人の輪郭がぼやけている。白いクロスをかけたテーブルが延々と続く絵、簡素な皿や碗がテーブルに置かれた絵、ソファーだけの絵…シンとした不思議な静けさが濃厚に漂う。アルテロの絵には、エドワード・ホッパーやデンマークの画家ハマスホイと共通するミステリアスな魅力がある。
光に満ちた外の静けさと暗い室内の静けさを二人の画家が見事に分かち合った展覧会だ。(羽)
Galerie Camera Obscura
Adresse : 268 bd Raspail, 75014 ParisURL : https://www.galeriecameraobscura.fr
火〜金12h-19h 土11h-19h 8/14まで