田中克典(よしのり)さん(33歳)
17区にあるPetit Boutaryでシェフ・パティシエを務める田中さんは、現在パリ4年目。日本の大学で理系学部を卒業後、パティシエを目指し専門学校に入学。日本とフランスで各一年学んだ。大学で身につけた科学的な知識は、お菓子作り、特にレシピの作成に役立っている。
卒業後は、東京のホテルなどで働く。勤務先ホテルのフェアで来日した、南仏に拠点を置くMOF(フランス国家最優秀職人)クリスチャン・カンプリニ氏との出会いは大きく、本店での研修も経験した。「マンダリンなど地元産のフルーツやハーブをふんだんに使ったお菓子は、特殊なテクニックに頼らないのに洗練されていて、味も香りも印象的。良い素材を使ってきちんと作ると、こんなにおいしいものができるのだと感激しました」。
2016年の4月に渡仏し、すぐにラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブションのサンジェルマン店に入店。2年半働くなかで、個性の違うシェフ2人の下についた。「1人目はパラス(高級ホテル)出身のフランス人、2人目はスペインのガストロノミックなレストランで経験を積んだスペイン人。食材の選び方から味の構成、レシピの細かさまで全く違っているこの2人から、多くのことを学びました」。
その後、6区にあるBoutaryを経て、現在の店のシェフ・パティシエに就任。自分でレシピを作る際に心がけているのは、「できるだけシンプルなデザートに仕上げること」だという。「フルーツは香りが強く出ているものを選ぶなど、素材の質にこだわり、そこにスパイスや糖分を加えてさらに味わいを引き出します。奇をてらった方法ではなく、素材を最大限に生かしたデザート作りをしていきたい」。将来は、地方都市など自然に近い場所で、地元の食材にこだわったお菓子を作りたいと話してくれた。(恵)
Petit Boutary
Adresse : 16 rue Jacquemont, 75017 ParisTEL : 01.4627.7623
アクセス : M° La Fourche
URL : http://www.petitboutary.com/
12-14h/19h30-22h 日月休 ※本年6、7月に限り、日曜昼営業。日夜・月・火昼は休み。 予約をおすすめします。