イギリスのロマン主義の大画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851)の油彩10点と水彩60点の展覧会が、ジャクマール・アンドレ美術館(閉館中)の学芸員の解説付きでネットで見られる。会場は年代順になっており、美術学校で建築を学んだターナーが建物の内部を詳細に描いた作品で始まる。興味深いのは、展覧会に出すためではなく、自分のために描いた水彩画だ。未完成のようでもあり、余白を残した水墨画的な味わいがある。ターナーは風景画を全てアトリエで描いた。水彩画もそうだった。見た風景を作品化する過程で余分なものが取れて、感動のエッセンスだけが残ったような抽象的な水彩を見ると、「芸術とは何か」について問いかけられているような気になる。小説や詩の本の挿絵は、それとは違う細部まで描いた水彩画で、こちらにもターナーらしい詩情があふれている。展覧会は、宗教的とさえ言える陶酔感が漂う光にあふれた油彩で終わっている。(羽)
*5月26日から、ジャクマール・アンドレ美術館が再オープン。
www.musee-jacquemart-andre.com/fr/decouvrez-visite-virtuelle-lexposition
Musée Jacquemart-André
Adresse : 158 boulevard Haussmann, 75008 Paris , FranceTEL : 01 45 62 11 59
アクセス : Saint-Augustin / Miromesnil / Saint-Philippe du Roule
URL : https://www.musee-jacquemart-andre.com/fr/home
閉館日なし。祭日も開館。11h-19h。 展覧会開催中は、月曜は20h30閉館。