写真と映像の美術館「ル・バル」は2年に1度、40歳以下のヨーロッパ人アーティストのプロジェクトを公募し、選ばれたプロジェクトが完成した後、作品を展示する。
2019年は、モロッコ人を両親にフランスで生まれたヤスミナ・ベナブデラマンが受賞した。モロッコの首都ラバトにできる1800席の大劇場を舞台に、建設に関わった地質学者の叔父と、田舎で伝統的な生活を営む祖母を白黒で撮影した映像作品だ。
建設中の劇場は、イラク系イギリス人建築家ザハ・ハディドが設計した、川のほとりに突如現れる「獣」のような巨大な物体。叔父は地質を調べて建設にゴーサインを出した。祖母は家畜をさばいて肉を干したりする昔ながらの生活。建設の途中でハディドが急死したため、工事責任者は建設の場が穢(けが)れたと判断し、百頭の健康な羊と仔牛を生贄(いけにえ)にして浄めた。
そんな言葉が映像と交互に現れると、祖母がさばく肉が生贄になった家畜と重なって見えてくる。4月12日(日)まで。(羽)
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、展覧会やコンサートは中止、または延期になる可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
Le Bal
Adresse : 6 impasse de la Défense, 75018 Parisアクセス : M°Place de Clichy
URL : http://www.le-bal.fr
月火休 12h-19h。7€。