Q:ジェレミーの歳は?
宮下:同い年、29歳です。
Q:これから二人で何をしていきたい?
宮下:やっぱりレストランです。
Q:パリでピタパンサンドのレストランですか?
宮下:レストランだったらできることが広がると思うので、ピタを続けるかどうかはわかりません。ガストロノミーではなく、新しい感じでやりたいと思っています。
Q:ストリートフードの延長という感じで?
宮下:そうですね。実は自分の弟も料理をやっていまして
Q:浅草の弟さん?
宮下:そうです。まだ東京で見習いの料理人ですが
Q:フレンチ?
宮下:というか、原宿のカジュアルビストロレストランで働いています。
Q:すると将来は兄弟で何かを?
宮下:やっぱり兄弟で一緒にやりたいと思います。弟ももう少し修行したら海外に出たくなるんじゃないかと思うんです。
Q:お兄ちゃんがすでに出ているとそうでしょうね。
宮下:自分も弟を海外に出したいんです。
Q:弟さんが料理の世界に行った、というのはやはりお兄さんの
宮下:影響があると思います。
Q:西川さん、どうですか翔さんの弟さん?
西川:彼はラグビーをやっていたので
Q:料理とはさらにがっちりスクラムを組んでしまう?
西川:そうですね、グーっと行くと思います。将来、兄弟でスクラムを組むとすごいんじゃないですか。
Q:ただパリにこだわらず、ストリートでというのならアメリカで勝負してもいいんじゃないですか?
宮下:アメリカには本当に一回行きたいんですよね。今は忙しくてなかなか無理ですけれど、次にバカンスが取れたら西海岸で車一台借りて行きます。テキサスに従姉妹が住んでいるのでぜひ、と思っています。
Q:さてみなさんにお聞きしていることですが、宮下さんにとってお料理とは何でしょうか?
宮下:料理は人を喜ばせるんじゃないかな、と思っています。
Q:人を喜ばせることによって自分も喜びを得る、という感じですか?
宮下:やっぱりそうなりますよね。僕の彼女にしても、気分があまり乗っていない時にご飯を作ってあげるとコロッと変わるんですよ(笑)。また例えば、喧嘩をしている風のカップルが映画を観にきて「何食べたい?」と彼氏が聞いても彼女が黙っているからとりあえず、と何かを注文する。すると食べ終わった二人はいつのまにか仲良くなっているんです(笑)。そういう場面を見ると、自分がもしかすると人の役に立っているのかもしれない、と思います。
Q:なるほど。
宮下:ストリートフードは人と近い関係にあるんじゃないかな、とやっぱり思います。
Q:食べることが悦びにつながるというのはいいですよね。これまであまり出会ったことはありませんけれど、食べることに興味がない人は気の毒だと思います。
宮下:やっぱり食べることは人生を豊かにします。食べるものによって考え方なんかも形成されていくと思うんですよね。極端な話ですけれど、毎日カップラーメンを食べていたら、体も変わってくるでしょうし考え方だって変わってくると思います。
Q:自分の内部に取り込むものですものね。
宮下:アスリートには彼らなりの食生活があって
Q:宇宙飛行士の食べ物だって小さな固形の中に色々詰まっているし。
西川:でも日清のカップラーメンを宇宙まで持って行っていたりして
Q:インスタントでもジャンクフードでも人によっては美味しいものはありますから。
宮下:もちろんそうです。
西川:本当に美味しいコース料理を食べた後にお腹が空いてカップラーメンを食べることがあるかもしれない。
Q:ガストロのお店に行く側も緊張していて、しかもお料理の量もそこそこだったりして、家に戻って緊張がほぐれるとカップヌードルやお茶漬けを食べる?みたいなこともあるかもしれない。そういうハレとケというのは日常の中で大切ですよね。有名シェフのお店でのご飯も美味しいけれども、実は家でのお茶漬けが一番好きという人がいて当然。
西川:両方があるから面白いですよね。
宮下:僕は自分にしかできない料理というのをやっていきたいです。 すごいシェフはたくさんいますし、日本人シェフには技術もある。ただ流行りがあるとすれば最近の料理はみんなどこか似ている気はします。
Q:確かに。
宮下:そういうものではなくて、自分にしかできないところを目指していきたいです。僕はストリートカルチャーがすごい好きだった。スケボー、グラフィック、ヒップホップ、ダンス、ファッションもそうですし、クラブにアルコールも(笑)
Q:アルコールは特にストリートじゃなくても(笑)。でもストリートをパリで展開するなら場所を選ばなきゃ。
宮下:そうですね。ジェレミーは20区のベルヴィル、メニルモンタンあたりに住んでいて
Q:あの辺もそうですけれど、ここ、13区の外れあたりも結構新しくなっていますよね。
宮下:確かに。ストリートが好きなので、ヨーロッパのそういうカルチャーにも興味があります。
Q:ベルリンなんか面白そう。
宮下:ベルリンは僕すごい好きでした。安くて野生的で、何よりもクラブがすごいんですよ。
Q:パリはそういう意味では少し「いい子」かもしれない?
宮下:パリはちょっと気取っています。
西川:おしゃれ?
宮下:おしゃれなんですけれど、ベルリンはワイルド、ソヴァージュでした。元々軍が使っていた建物に無許可で音楽を持ってきたというのが始まりなんじゃないですかね。倉庫なんかを勝手に使って。だからすごく面白かったです。でも次はやっぱりアメリカに行きたいです。
Q:ご自分のストリートを見極める時間はまだいっぱいありますから、あちこちに行って体験してみてくださいね。
宮下:はい。今日はたまたまですがすごいタイミングで西くんに一緒にいてもらって、話もしやすくて本当に良かったです。
Q:確かに。実は最初はベルリンから来ていらっしゃる西さんがいらして、六本木から山梨へ、そして一回りも二回りも違う卯年の人がたくさんいて、東京にパリに…と頭がこんがらがりそうになったのですが(笑)、結局お二人と面と向かってこうして話ができたのでいろいろなことがすっきりとよく理解できました。
宮下:結構深い説明だったかもしれないです(笑)。
Q:いえいえ、本当にありがとうございました。楽しかったです。