秋の涼しい風を頬に受けながらマレ地区の静かな小道を歩いていると、「Empreintes」と記された建物の前に出た。ピカルディ通り5番地、どこか控えめな入口に誘われて奥へ進むと、そこにはきめの細かい肌のような繊細な空間が広がっていた。
ここはフランスの工芸家組合「Ateliers d’Art de France」が運営するブティックで、9月半ばにオープンしたばかり。自然光がさんさんと差し込む地上3階のスペースには、およそ1000点の食器、アクセサリー、家具などのさまざまな工芸作品が並ぶ。これらはみな組合に所属する工芸家が制作したもので、全国に6000人いる彼らが平等に展示・販売の機会を持てるように、3カ月ごとに作品を入れ替えていくそうだ。ギャラリーのように眺めるだけでなく、自由に手に取って感触を確かめられるのがいい。
また併設のティーサロンでは、展示作品の食器でもてなされ、地下では工芸に関するドキュメンタリー映画を観ることができる。この建物全体が手仕事の喜びで包まれている。
作者の息づかいまでが聞こえるような作品に耳を澄ませば、ゆっくり会話できる友人のようなオブジェに出会えるかもしれない。(仙)
Empreintes
Adresse : 5 rue de Picardie, 75003 Paris , FranceTEL : 01 40 09 53 80
アクセス : Temple, Filles du Calvaire
URL : http://empreintes-paris.com/