生物の多様性をテーマにした展覧会が開かれている。バーニー・クラウスが録音した自然界の音をメインに、写真、絵画、ビデオ、音楽で構成した「動物たちの大交響楽」展だ。アメリカの電子音楽のパイオニアだったクラウスは、1968年から自然の中で野生動物の声を録音し続けている。地下の暗い部屋に入ると、動物たちの声が聞こえる。波の音など、まわりの音がすべて入っているので、海や深い森の中にいるような気分になる。隣の音の部屋には、生物学者クリスチャン・サルデが撮ったプランクトンの写真を高谷史郎がビデオにし、坂本龍一が音楽をつけた、音と映像の抽象作品がある。
地上階ではコーネル大学の研究者たちがニューギニアの極楽鳥を撮ったビデオが秀逸だ。羽を広げるとまったく違う造形になる極楽鳥は、彼ら自体がアーティスト。目が釘付けになるほどの面白さだ。同じ場所に現れる野生動物と人を無人カメラで撮った宮崎学のビデオは、人と野生の共生を考えさせる。(羽)