●︎Le Havre
光のアトリエ
Eugène Boudin, L’atelier de la lumière
ウジェーヌ・ブーダン (1824-98)のコレクションではオルセー美術館に次ぐこの美術館でも、これ程の大規模なブーダン回顧展は1906年以来。「バルビゾン派などの影響で暗い色調だった初期から、移ろう光の様相を捉えるようになる過程が見どころ」と、キュレーターのマヌーヴルさん。
モネは「私はすべてを彼に負っている」とブーダンのことを表現した。『印象、日の出』が描かれた港にたたずむ美術館内から、ブーダンが描き続けた海と空が一望できる。作品のなかにいるような感覚が味わえる素晴らしい美術館だ。(9/26まで)
Musée d’art moderne André Malraux (MUMA) :
2 bd Clemenceau 76600 Le Havre
02.3519.6262 www.muma-lehavre.fr
月~金11h-18h、土日は19hまで。火曜、5/1、7/14休。10/6€。
【パリからの行き方】Saint Lazare駅からLe Havre駅。La plage行きトラムでHôtel de ville下車。バス4番線 (Perrey行き)でMusée Malraux下車。
●︎Caen
フリッツ・トーロー、天性の風景画家
Frits Thaulow : Paysagiste par nature
ノルウェー出身のフリッツ・トーロー(1847-1906)は、「水の画家」「雪の画家」と言われるほど水や雪の描写に秀でている。ガス灯を携えて夜景を描いたり、雪の中でもイーゼルを立てるなど、屋外での制作にこだわった。「自然を前に絵を描いた印象派に対し、トーローは自然の〈なかで〉描いた。19世紀末の北欧で 〈エコロジー〉の概念が生まれます。北欧人独特の自然との共生の感覚も持つトーローは、産業化で変わる風景などに敏感でした。初のエコロジー画家とも言えます」と、キュレーターのクロストラさん。旅好きな彼は1874年にフランスに来て、翌年ノルマンディーを訪れる。フランス、アメリカ、ノルウェーから作品を総動員。9割がフランス初公開という、本格的回顧展だ。(9/26まで)
Musée des Beaux-Arts de Caen :
Le Château 14000 Caen 02.3130.4770
www.mba.caen.fr
9h30-12h/14h-18h。火祝休。5.5/3.5€。
【パリからの行き方】Saint Lazare駅から直行で2時間前後。Caen下車。トラムAかBで、Église Saint Pierre下車。美術館は城壁内。