サンマルタン運河の周辺は昔からこじゃれた店が多いだけに買い物客の目も高い。そんな中で、料理人が営む異色な肉屋が人気を集めている。それもライヨールの三ツ星レストラン、ミシェル・ブラスやティエリー・マルクスのもとで修行を積んだシェフ、バンジャマン・ダルノーだ。『トップシェフ』で見覚えのある人もいるだろう。『Taste Hunters』のレギュラー出演で、収録のため世界中を旅したバンジャマンはパリに戻り、昨今流行りのレストランを自分も開こうという気にはなれず、ベジタリアン傾向に逆行するべく、肉を全面に押し出したビジネスに挑戦したかったと言う。ローマの肉屋に着想を得た店内にはあらゆる種類の肉が部位ごとに並び、ウインドー後方では厨房のごとく作業が見えるのがいい。あくまで自分は肉屋ではないと自負し、これまでに出会った最高の生産者から肉を購入し、シェフの経験を最大限に生かす。客に肉を売る際は必ず調理のアドバイスを欠かさない。そして牛のワイン煮込み(26€/kg)、ミートボールなど、自ら調理した料理も販売している。月に1度、豚をつぶしてハム、ソーセージ、パテ、テリーヌなどをつくる。有名なバスク豚キントアのソーセージ(26€/kg)は絶対おすすめ。ハンガリー固有のマンガリッツァ豚でつくるソーセージ(26€/kg)は、なんとキムチ入りで、これが見事な調和に驚かされる旨さだ。湯せんにかけて表面に焼きを入れるだけでいい、柔らかくジューシーな骨付きリブ(26€/kg)は大人気商品で、午前中に完売してしまう。これはまさに肉好きが生み出した、肉好きのための店だ。(み)
Viande & Chef
Adresse : 38 rue de Lancry, 75010 ParisTEL : 09.8187.0130
アクセス : M° Jacques Bonsergent
月16h-20h、火~土 10h-14h / 16h-20h 日休