ブダペスト美術館には、西洋美術の傑作がキラ星の如く並んでいる。その一部がパリに来た。会場は西洋美術史をざっとおさらいするかのように、中世の終わりから近代までを網羅している。
ルーカス・クラナハ (父)の『バプテスマのヨハネの頭を手にしたサロメ』は、クラナハと同時代の豪華な衣装をまとった若い女性を描いている。首飾りの輝きや布の模様の美しさが細かく描き込まれた素晴らしい作品だ。アルブレヒト・デューラーの『若い男の肖像』は、理知的な瞳の男性の特徴をよく捉えている。
印象派では、詩人ボードレールの恋人ジャンヌ・デュヴァルを描いたエドゥアール・マネの『扇子を持った女』が、容色衰えたジャンヌを人形のように描き、モデルの生気のなさと白いスカートの異常なボリュームの対比で見る人を圧倒する。ハンガリーの近代作家の中では、リープル・ローナイ・ヨーゼフの、緑の鳥かごを持つ黒い服の女性像が青い背景から静かに浮き上がる、忘れがたい作品だ。(羽)7月10日まで。
Musée du Luxembourg
19 rue de Vaugirard 6e