イタリア食材店、なんて言うと珍しくもなんともない。ドライトマトやオリーブ、バジルペースト、パスタにチーズを売る店ならパリのあちこちにあるし、今やスーパーでだって手に入る。この店のすごい点は、イタリアを旅して発見した、現地以外で見たことのない食材を直輸入していることだ。例を挙げると、カンパニア州ナポリで味わったFriarielliというアブラナ科の野菜。ブロッコリーや菜の花を思わせる見た目で、特有の苦味があり、パスタやピザにふんだんに使われるこの野菜が水煮で売られている。同系の野菜で、プーリア州で食したCime di Rapaもペーストで売られていて、耳たぶの形で有名な地元のパスタ、オレッキエッテと和えて食べると気分はもうプーリアだ。カラブリア州名物、豚の挽き肉に大量の唐辛子とスパイスを混ぜてつくるN’dujaもグラム買いできる。パスタソースにほんの少量加えるだけで、ぐっとエキゾチックになる優れものだ。そして首都ローマの属するラツィオ州で食されるPuntarelleはチコリーに近い菜もの。外葉をむしって、内側の花の部分を細かく割いてアンチョビ、レモン、オリーブオイルでからめてサラダとして食べるのが一般的。それがこの店で株売りしているのを知った時は感激したものだ。他では売っていないイタリア地方の名産物が、イタリアに行かずして手に入る。種類豊富なワインが壁一面を飾る地下のカーヴでは、オーナーのアレッサンドラさん自ら教える料理教室や、試飲会、試食会も随時行なわれるので、イベント情報からも目が離せない。(み)
RAP
Adresse : 4 rue Fléchier, 75009 ParisTEL : 01.4280.0991
アクセス : M° Notre Dame de Lorette
火~土 10h30-19h30 日 10h-13h 月休