30人の日本人染織造形作家のうち10人は、かつて存在したローザンヌのタペストリービエンナーレの入賞者だが、それを知らなくても、作品の質の高さは十分伝わってくる。全国から公募で集まった100点以上の中から30点が選抜された。サンフランシスコ、ヘルシンキなど欧米の8都市を巡回し、パリに来た本展は、この後オランダに行く。巨人が衣を広げて踊っているような濱谷明夫のミニマリスト的な作品では、幾何学的な造形の中で白と藍の美しさが際立っている。小野文則のみかんの房を集めたような作品は、紙を化学的に加工し不思議な質感を出している。絹、麻、紙、竹などの天然素材も化学素材も使い、独創的なアイデアをテクノロジーと丁寧な手仕事で実現した作品ばかりだ。(羽)
パリ日本文化会館 7月11日まで