「Les Routiers」という店名は、ふつう国道や県道沿いにあって、トラック野郎たちが通う食堂に付くもので、値段も手頃で、おなかいっぱい食べられるレストランのはずだ。ところが ここはパリ18区の街の中にあって、決して安いというわけではない。でもこの界隈に住んでいそうな老若男女であふれている。あとでわかったのだが、この人気の理由は、その量にありそうだ。
私は昼のコース(22.2€)をとり、アントレには 死のトランペット茸trompette de la mortのココットをとった。濃厚なクリームソースと卵にキノコの風味がしみ込んでいる。一人分のはずなのにココットが二つ出てきた! すでにこの店の洗礼を受けているようだ。
メインは鴨の胸肉のオリーブ煮込み。オリーブがふんだんにあしらってあって、胸肉特有のうまさにさらにコクをつけた味に仕上がっている。
友人は単品で、オニオンとクリームソース添えのステーキ(19€)。ここは有無を言わせず2枚のバヴェットを焼いたステーキが登場という、ガテン系です。どちらにも別皿でサラダとマッシュポテトがたっぷり付いてくる。いやはや、女性一人では食べきれない。かつては長距離運転手たちがパリを出発する前にここでしっかりと腹ごしらえをしたのだろう。四半世紀以上この店を切り盛りしてきて、もうすぐ定年だという夫婦の心意気に引かれて、きょうも店には人々が集まり、皆大いに食い、大いに飲み語る。さて、このレストランの主役であるはずのトラック野郎たちは、パリ市内のどこにトラックを停めて腹ごしらえができるのだろうか。(麻)
Les Routiers
Adresse : 50 bis rue Marx Dormoy, 75018 paris , FranceTEL : 01.4607.9380
12h-14h15/19h15-22h15。日休。