現実に踏みとどまる詩的なムードの切り取り方

●Things People Do

 誠実さゆえ職を失う家族思いの男が、ささいなボタンの掛け違いで犯罪の道へ。プール付き一軒家の住人にありがちな «見せかけ中流階級 »の脆さまで透けて見えてくる。
 『あの頃ペニー・レインと』『シン・レッド・ライン』の映像編集者としてオスカーにノミネートされたこともあるイスラエル生まれのアメリカ人サー・クライン。巨匠テレンス・マリックお気に入りの編集者である彼の長編初監督作が『Things People Do』だ。詩的なムードの切り取り方はマリック作品の類似系。だがムードに逃避しがちなマリックより、現実に踏みとどまるのがクライン。
 モラルの不在に苦しむ現代アメリカ人の痛みに寄り添う意志を感じさせるのだ。(瑞)