矛盾を抱えた人や土地を優しさで描く

映画『Les Merveilles』アリーチェ・ロルヴァケル監督会見

 緑豊かなイタリア中部ウンブリア州。頑固な父親のもと養蜂業を営む一家。隔絶された田舎町にもテレビ番組の撮影隊が来たりと、外部からの風が吹き込んでくる。イタリア映画『Les Merveilles』は、伝統と進化、幻想と幻滅の狭間で揺れる家族の物語。カンヌ映画祭では2席に当たるグランプリを受賞。
 «幻想»を体現する美の化身、モニカ・ベルッチの出演も話題に。アリーチェ・ロルヴァケル監督が自作について語った。
 「私の父は養蜂家ですが、本作は自伝的映画ではありません。しかし私の故郷について語ったパーソナルな作品です。これは4人の娘がいる王様(父)と王妃(母)、そして妖精 (ベルッチ扮するTVリポーター) が登場する「寓話」です。生々しく具体的な設定で観客を現実世界に誘いますが、同時に「寓話」として自由な解釈を許す余白も残したつもりです。私は矛盾を抱えた人や、彼らが生きる土地を観察し、それらを裁いたり隠したりはせずに優しさを持って描きたいと考えました。人間の矛盾を語るために、映像の力には大いに助けられました。ひとつの画面のイメージが、異なったレベルの意味を同時に内包できるからです。主人公の長女ジェルソミーナ役には1500人の少女に会って選びました。彼女が口から蜂を出すシーンがありますが、あの蜂は本物です。オスの蜂は刺しませんからね」(瑞)