ヴェルサイユの森の南を水源とするビエーヴル川Bièvreは、南の郊外からパリの13区と5区を流れ、オーステルリッツ河岸でセーヌに注いでいた小さな川です。
でも現在のパリには、この川は存在しません。17世紀末から、パリと近郊のビエーヴル岸には、この水を利用する染め物や皮革加工などの作業場が集まり、19世紀末にはひどい環境の工場街になっていた。川は極端に汚染され悪臭を放つドブ川になり、「臭いものに蓋(ふた)」で次第に暗渠(あんきょ)化。下流の近郊とパリの川は、1950年までに地中に消えてしまったのです。
今、この流れを再生しようという「ビエーヴル川ルネサンス計画」が、少しづつ進められています。
この夏、水源からの美しい自然の流れに沿い、そして埋められた流路を探して、全流域を歩いてみました。(稲)
文・写真・地図:稲葉宏爾
協力:あ、細、文、奈、由の皆さん、ありがとう。