今回は、極右の国民戦線FNが大躍進したが、その中にあって、セーヌ・エ・マルヌ県、ムラン市に近い人口700人のイエーブル村では、無所属のマリエム・タマタ=ヴァラン(32)さんが村長に選ばれた。モーリタニア出身でイスラーム信者の黒人女性、とFN支持者にとっては一番たえ難い存在。「選挙戦中は、イエーブルの根強い人種差別を体験することになりました。私の名前はけがされ、ずいぶん苦しい思いをしました。でも犠牲者にはなりたくなかった」。マリエム・タマタさんは14年前にフランスに移住し、国際ビジネスを学ぶ。やはりイスラーム信者のタヒチ人と結婚後、2004年にイエーブルに引っ越し。「当初は変な目で見られたものです」。4児の母として幼稚園建設に尽力し、村議会議員になったが、村長と考えが合わず、今回独自のリストで立候補。「彼女の宗教が何かというより、実行力をかって1票を入れました」という声が住民の気持ちを代表しているようだ。(真)