まだ終電があるからと、ちょっと一杯ひっかけ、ほろ酔い気分でフランス国鉄SNCFの駅に着いたら、列車はなぜか予定より30分も早く出てしまっていて、他の乗客たちとホームでぼう然としてしまった。駅員をつかまえて理由をききただすと、「夜間工事で終電が早まってしまった」とのこと。「そんなの聞いていない!」と誰かが言うと、「あそこの掲示板に書いてありますよ」と指差した。工事期間の時刻変更一覧とやらに、その日だけ終電が30分早まると小さく書いてあった。「不親切!」、「客を馬鹿にするな!」と終電難民たちは声を荒らげたが、こんなSNCF のサービスの悪さに不満なのは乗客だけではないようだ。住民たちの交通の便が改善されるようにと、SNCFに毎年40億ユーロ近い資金投入を行っている各地域圏も業を煮やしている。運行遅れや、ストによる運休が目立ち、さらにはTER(在来線)の増設などを理由に、年々その負担金の増額を要求し続けているからだ。
終電難民が出てから数日後、地方紙『クーリエ・ピカール』に掲載されていた記事によると、ピカルディー地域圏は、2013年も例年のごとくSNCF に負担金を払っていたが、100万ユーロの違約金を支払うことを要求した。理由は、同地域の在来線で、2013年の正常運行率は88.8パーセント(つまり10本に1本は運行遅れがあった)と悪質だったからとのこと。
『フィガロ』紙が報じるところによると、フランス南西部のミディ・ピレネー地域圏では、2014年に予定されていた1億4500万ユーロの負担金をSNCFに支払わないことを決定している。 次いでリール市などのあるノール・パ・ド・カレー地域圏も、半年分の負担金1億1000万ユーロの支払いを拒否。また、そこまで強硬ではないものの、アキテーヌ、ロワール、ブルターニュ、ロレーヌ、ラングドック=ルシヨン、オート・ノルマンディー、リムーザンなどの地域圏も負担金の増額には応じない姿勢を見せている。(康)