モンマルトルの坂道を下っていた時に視線の会った黄色い猫。その、壁に描かれたグラフィティの猫M.CHATは、オプティミストな空気とシニカルな笑いを送ってくれる。ミステリアスな黄色い猫M.CHATは、2000年くらいから、フランスの都市の街角に頻繁に出現した。当時、メディアも警察も、このアーティストが誰かを見つけることができなかった。映画『ラ・ジュテ』で知られるクリス・マルケルが、『Chats Perchés 笑う猫事件』を撮って、M.CHATの作者トマ・ヴュイユに光を当てる。ヴュイユにとってマルケルとの関係は親子の関係に近いものといえる。
M.CHATは、NY、東京、ソウル、サラエボ、ハバナなどの都市で新しい冒険に乗り出し、美術館、ギャラリー、地方自治体、大使館などからの作品の依頼を受ける。この2月5日にはパリのオークション会場〈Artcurial〉でのストリート・アートのオークションでM.CHATの彫像が売られ、今秋には、サンテチエンヌ市のギャラリー〈Bertheas〉で展覧会が開催される。M.CHATは、オルレアンの美術学生だったヴュイユが、恵まれない地区の子供たちに美術を教えていた時、パキスタン人の少女の描いたデッサン「無限の笑いの猫」に感動し生まれた。沈滞とさまざまな問題に支配されている社会に楽観的な風を吹き送る苦笑い猫M.CHAT。身近なストリート・アートとして笑い続けてほしい。(苗)
Artcurial : 7 rond-point des Champs-Élysées
8e www.artcurial.com/
Galerie Berthéas : 1 place Maxime Gorki
42000 Saint-Etienne
http://galerie-les-tournesols.fr/galeries-bertheas-les-tournesols.htm