TV作品の持つ制約は、挑戦しがいがあった。

● ブリュノ・デュモン監督 インタビュー

 沿岸の小村で、女性の死体が腹の中に詰められた牛の死体が発見された。そんな奇々怪々な事件を取り巻くのは悪ガキ、 憲兵、教会の人々、TVリポーターたち。舞台はフランス北部、役者は素人と、一見これまでのブリュノ・デュモン作品の類似系。だが目を凝らせば、監督にとって初挑戦だらけの過激なクライム映画に仕上がっている。本作『P’tit Quinquin』は、アルテ局で9月18日と25日に放映予定だ。

なぜTVのシリーズ作に初挑戦されたのですか?
 アルテ局から、52分のTV作品を4本作るよう依頼されたのです。TVシリーズというのは、子どもの時にちょっと見ただけで、あまり知らない世界。でも今回はTVの持つ制約が、逆に挑戦しがいがあると思い引き受けたのです。

設定はシリアスながら笑えます。これは狙ってのことですか?
 はい、アクシデントではありません。最初からコメディ映画として狙ったものです。もともと私はコメディ映画を見るのが好きなのです。これまでわりとシリアスなドラマばかり撮ってきたので、今回は監督として新しい冒険ができました。
初のデジタル撮影ですが、役者の動きに変化はありましたか?
 もともと私はテイクを何度も撮らないので、フィルムの時とさほど変わりませんね。撮影媒体としてのフィルムはもう最後の時期ですし、フォーマットの違いは重要ではないと思っています。そういえば前作『カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇』に主演したジュリエット・ビノシュも参加したがっていましたが、今回は断りました。だって彼女に合う役がないでしょう?
本作はカンヌ映画祭の監督週間で上映され、大好評でした。
 処女作『シーザスの日々』が上映された監督週間は、私にとっての出発点。その後はカンヌのコンペティション部門に選ばれるようにもなりましたが、監督週間がなかったら、今の私はなかったかもしれません。実を言えば今回、この『P’tit Quinquin』も、カンヌのコンペを狙っていたのですが落とされました。今のカンヌは見る目がないのです!(笑)でも監督週間で上映ができて満足です。(聞き手:瑞)