映画がとらえた日本

会館15周年特別企画 作品選定ディレクター、ファブリス・アルデュイ二さんインタビュー

●何はともあれ、大事なのは「生命」。
 エッフェル塔のふもとで日本文化の伝道師となり早15年。パリ日本文化会館は、新旧織り交ぜた150本の邦画とともに15周年を祝う。5月から始まった大型企画の第2部が9月から再スタートを切った。「いのち」「詩情あふれる風景」「忠臣蔵」「社会」「郷愁」「戦後という時代」「喜劇」「沖縄」「中平康監督」と、多彩なテーマから浮かび上がるニッポンの姿とは?プログラムを担当したファブリスさんにお話を伺った。

 「シネフィル向けに偏らない作品選定にしました。おかげで第1部では石井克人監督の『茶の味』に若い人が押し寄せたりと、多様な観客層に恵まれました。第2部にも引き続き多くのテーマを設定。まずは、「社会」と「郷愁」がおすすめですね。富田克也監督の『サウダーヂ』や『ふるさと2009』は、地方の空洞化か描かれ興味深いでしょう。福島での原発事故後、とりわけ「故郷」は重要なテーマのひとつ。もともとフランスより日本の方が、郷愁の念は強めかもしれません。
 15周年の記念企画なので「inédit ( 未公開作品)」のプレゼントも。フランスでは『狂った果実』しか紹介されていない中平康の特集上映をします。モダンで洗練された演出に定評があり、時代の先駆者だった監督です。また今回、様々な「忠臣蔵」を集めましたが、私の一番のお気に入りは、市川雷蔵が出演する渡辺邦男監督の大映作品。まばゆい極彩色の娯楽作で、溝口健二版の厳粛な『元禄忠臣蔵』とは対極をなします。そして「命」というテーマも、本企画の締めくくりにふさわしいと思っています。何はともあれ、大事なのは「生命」ですから。自然分娩を追った河瀬直美のドキュメンタリー作品『玄牝(げんぴん)』のプレミア上映をお見逃しなく。
 貴重な作品が多いので、この機会に見られるだけ見てほしい。無料上映の回もあります。本上映がテーマを介した日本文化への招待状となれば幸い。本音を言えば、パリだけではなく地方の人にも見て頂きたい。各地の文化機関と手を組み、特集を巡回させていけたらいいですね」(聞き手 : 瑞)
パリ日本文化会館   
101bis quai Branly 15e
4€/割引3€、お得な映画パス(50€/35€)もあり。