突然の妻の死。そしてピエトロは会社に行くのをやめにする。ただ娘が通う学校の前のベンチに腰かけ、麻痺した心が動き出すのを待っているのだ。
イタリアでゴンクール賞に匹敵するストレーガ賞を受賞した、サンドロ・ヴェロネージの小説の映画化。自身の監督作品で主演を演じてきたナンニ・モレッティが、アントネロ・グリマルディに監督のメガホンを預け俳優業に徹する。モレッティの『息子の部屋』とも呼応する「近親者の喪」がテーマ。「Caos Calmo 静かなるカオス」のただ中で、逆にピエトロが回りを癒してしまうのが面白い。現代イタリア映画には珍しいくらいの不器用な映画愛が溢れる。12月10日公開。(瑞)
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