1900年代の傘は エッフェル塔を思わせる。

高級傘職人のミシェル・ウルトーさん。
高級傘職人のミシェル・ウルトーさん。
 「物心ついた頃から傘はいつも最高の玩具…」。ミシェル・ウルトーさんは天性の傘職人だ。南仏トゥーロンの子供時代から、道ばたや蚤の市で見つけた古い傘を蘇らせるのが趣味だった。8歳の頃には、すでに近所の人の傘の修理も引き受けた。「だから僕が仲間うちで一番お小遣いを持っていました」(笑)。
 とはいえ少年は成長し、そのまま傘職人にはならなかった。映画や演劇、オートクチュールの華麗なコスチュームを手がける衣装係として25年間活躍したのだ。とりわけ得意のコルセット使いで、業界内でも確固たる地位を築いた。
 しかし仕事は順調だったが、ショービズ界で生きるエゴ丸出し人間の存在に耐えられなくなった彼は、2008年に高級傘職人として再出発を果たす。拠点はパリ12区の高架橋跡を使ったアトリエ街「ヴィアデュック・デザール」。ここにアトリエ兼ショップを構え、高級傘の製作と販売、映画や演劇用の傘のレンタル、傘の修理を開始。転職には何ら障害がなかった。これまで衣装係として服飾史や生地の知識を叩き込んでいたし、衣装に合わせた特注傘も手がけたし、それに何より幼い頃から修理技術を自力で蓄積してきたのだから。
 現在は3人のスタッフと月に約40本の傘を製作。物によっては一本で丸一週間かかることも。「お気に入りは1900年頃の傘。シルエットはシックでエレガント、エッフェル塔を思わせます」。最近はブノワ・ジャコーの『Les Adieux à la reine』やリュック・ベッソンの『アデル』といった映画の傘も担当。オスカーを三度手にした世界的な衣装デザイナーのアンソニー・パウエルも、「あなたのアトリエは世界で誰もしていないことを実現している」と賛辞を贈り、シャトレ劇場で上演する『マイ・フェア・レディ』用の傘を注文した。ミシェルさんは言う。「『ルイ14世時代の傘を』と急に注文されても、ここなら大丈夫。そんなアトリエは他にはないでしょう。でも基本的に醜い傘だけは絶対にお断り。仕事とはいえ拒否しますよ」(瑞)
Heurtault : 85 av. Daumesnil  12e
01.4473.4571  www.parasolerieheurtault.com/
半世紀前の布地。 現在にはない色味が魅力だ

半世紀前の布地。 現在にはない色味が魅力だ

柄に化粧パフと 鏡が付いている 傘もある。

柄に化粧パフと 鏡が付いている 傘もある。

傘一本で 丸一週間 かかることも。

傘一本で 丸一週間 かかることも。


高級傘職人



 

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