大通りに平行するアムロ通りに交わる小道にあるせいか、少々分かりにくいが、逆に、そのひっそりとしたたたずまいに知る人ぞ知る店に来ているという優越感をくすぐられるワインバー。ワインはどれもナチュラルワインで、グラスで4€から。
さて、本日のお目当てはランチ。その日の仕入れによって変わる日替りで、メインだけなら10€、メインと前菜、またはチーズかデザートで13.5€、3品なら17€、4品なら19.5€と充実している。
今日の前菜はムール貝。貝からでたスープだけでもおいしいのに、エビや魚からダシをとった極上のブイヨン付きでフヌイユの新芽がいいアクセント。
メインは魚か肉かの選択があったので肉を選ぶ。バベットと黒板にはあるが、フィレ状の筒型の肉で、表面は香ばしく、中心は美しいバラ色のレアという抜群の焼き加減。添えられたホウレンソウのピュレも、ピエ・ブルーというキノコも、繊細な味わいで肉を引き立てている。友人がとったメルルーサも付け合わせは同じなのだが、さっと火を通しただけの半生状態の白身魚の味をも、ピュレとキノコが引き立てていてびっくり。手軽なランチでも、決して手を抜かないシェフの姿勢に大拍手だ。
チーズも試してみる。小さめのヤギチーズ、クロタン・ド・シャヴィニョルは、ブドウ果汁入りのマスタード・ヴィオレットをちょっぴり付けて。旬のチーズは春の到来を告げるようで嬉しくなる。
デザートは、洋梨とリコッタチーズに、ハチミツや砕いたヘーゼルナッツ、クランブルをふりかけた飾り気のないシンプルなもの。甘過ぎず、重過ぎず、バランスよく胃に収まり、これも満足だ。
夜は一転、タパスバーに。タパスといってもスペイン風ではなく、素材を活かしたシンプルな小皿料理だ。こちらも日替りで、例えば、タラのセヴィーチェやマスのマリネなど約20種揃い、8€前後。がっつり食べたい人には、骨付き牛肉のステーキや子羊肩肉のローストもあるのでご安心を。(里)
Au Passage
Adresse : 1bis passage Saint Sébastien, 75011 Paris , FranceTEL : 01.4355.0752
12h-14h30/20h-23h。 土昼・日・月夜休。