デルピーは立派な監督に成長。 “2 days in New York”

 ジュリー・デルピー監督の新作『2 days in New York』は、同監督2007年の『パリ、恋人たちの2日間  2 days in Paris』へのお返し編。前作はNYに住むパリ娘(デルピー)と恋人のニューヨーカーが彼女の実家を訪れて、彼がカルチャーショックに見舞われる話だった。今度はその逆、NYで家庭を築いた娘(デルピー)の所へパリから父と妹とその恋人がやって来て巻き起こす騒動。
 フランス的メンタリティー丸出しの家族にあ然とするデルピーの連れ合い。英語をほとんど解さない父の言動はマイペースで突拍子もない。相手を言い負かさないと気が済まない姉妹はちょっとしたことで所かまわず大口論。妹カップルの傍若無人な振る舞いの後始末に大わらわなデルピー。その時、隣人についた嘘がまた波乱を呼ぶ。エスカレート気味のシチュエーション、余りに開けっぴろげな会話(下ネタ多し)、ほとんどドタバタ喜劇である。が、映画全体が脱線寸前のところでのデルピー監督のかじ取りはお見事。昨年公開の『スカイラブ』もそうだったけど、彼女の映画はハチャメチャな騒動の末に♡ウォーミングにまとまるのである。今回は、映画の前と後をレジュメ的に語る人形劇がとても効いている。またサイドストーリー的に挟まれるエピソードで、デルピーが「私の魂を売ります」という誓約書を競売にかけたが、後悔して必死に探し出した魂の買い手がヴィンセント・ギャロだったというのも面白い。
 ジュリー・デルピーと言えば、『ゴダールの探偵』や『汚れた血』で我々を魅了した10代の頃の天使のようなあどけなさが忘れがたい。でも彼女はそんなイメージに甘んずることなく立派な映画作家に成長した。監督としての彼女も贔屓(ひいき)にしたい。 
 ところで、この映画での彼女のシチュエーションって日仏カルチャーギャップの間に立たされ双方を取りなす私たちには親近感ありますね。(吉)