パリ在住の舞台女優兼ダンサーの毬(まり)和恵による孤高の歌手バルバラへの追悼〈De Tokyo à Barbara〉は、仏シャンソン界に変革の嵐を生み出した。今回の公演では、ピアノの弾き語りや伴奏でバルバラの作品を歌うという固定概念をみごとに覆し、バルバラへの情念を爆発させた独創的なパフォーマンス。また暗黒舞踏団、土方巽の門下生だけあってアングラ演劇の舞台を特徴づけている。ピアノを一切使わず、台詞と舞踏、そしてアカペラで『夜間飛行』や『ムッシュー・ヴィクトール』など歌い、後半、ユー・イサオのシンセサイザーが津波を演奏ししばらく静寂が続いたあと、東日本大震災犠牲者のための鎮魂歌に『ミモザの島』を選んでいる。これからのシャンソンの方向性を示唆する舞台だ。 (南)
11日、18日/15h。29日/18h30。15€。
Théâtre de L’ile Saint-Louis :
39 quai d’Anjou 4e 01.4633.4865