落ちこぼれ国ギリシャは ユーロ圏に残れるか。

ギリシャの国旗の色をバックに、 「大混乱」と題された11月2日付リベラシオン紙。
ギリシャの国旗の色をバックに、 「大混乱」と題された11月2日付リベラシオン紙。
 10月27日、ブリュッセルでのユーロ圏首脳会議は、サルコジ大統領、メルケル独首相の陣頭指揮でギリシャ財政危機への救援策に同意し、ギリシャのパパンドレウ首相は安堵し、仏独首脳はユーロ金融危機を避けられることに満面に笑み。
 ところが31日夜、パパンドレウ首相が、ブリュッセルで決まった支援策を国民投票にかけると発表したから仏独首脳カップルは激怒し、11月3日と4日カンヌに集まったG20 首脳らもびっくり仰天。同首相はユーロ圏首脳らにも自国の財務相にも国民投票のことなど知らせてなかったのだ。彼はカンヌに呼び出され仏独首脳に「ユーロ圏にいたいのか出たいのか」と叱責され立ち往生。国民投票を撤回するか、国会の信任を得た後辞任し野党新民主主義党NDとの連立政権が支援策を受け入れるか…と支離滅裂の1週間。もたもたしていると2010年決定のユーロ諸国からの支援金1100億ユーロのうち6回目の融資80億ユーロも凍結され、年末期限の国債の償還も不可能になる。今までパパンドレウ首相に敵対してきた右派サマラスND党首も7日、同首相の退任を条件に2月19日の総選挙まで与党社会主義運動党PASOKとの連立政権樹立に同意、パパデモス前欧州中央銀行副総裁(64)が新首相となる可能性が強まる。
 ヨルゴス・パパンドレウ首相(60年代から祖父ヨルゴス、父アンドレアス首相に次ぐ3代目)は、公務員給与・年金を20%カット、増税、消費税を19%から23%に引き上げるなど過激な緊縮策を重ねてきた。自爆的ともいえる国民投票構想は、失業率17%の中でゼネストと暴動をくり返す国民への威嚇だったのか、ユーロ国としてのギリシャ存続の責任を国民に負わせたかったのか。
 ユーロ諸国による支援策とは、ギリシャの財政赤字3500億ユーロのうち債務額2000億ユーロの50%を金融機関が放棄する(見返りとしてEU民間銀行が1060億€、仏系銀行88億€ 増資)。それによって国内総生産GDP比160%に達する赤字が2020年までに120%に下がる予測。そのほかIMFとEUが2014年までに1000億ユーロを融資するほか、ギリシャに新たに融資する投資銀行への保証金として300 億ユーロも加わる。
 ギリシャは経済的退廃国とみなされているが、ギリシャ正教会も船舶所有主も1サンチームの税金も払っていないし、富裕層はスイスなどに富を流出させている。消費税が23 %ともなるとヤミ市場がはびこり国内経済の二重構造が定着して久しい。公務員の給与も払えるかどうかの金欠状態の中で、ギリシャ政府は国立銀行の民営化を迫られているが、それで庶民の生活が楽になるかどうか。
 ギリシャの次に財政赤字で窮地にあるのがイタリア。G20首脳らの前でラガルドIMF専務理事は、劣等生ベルルスコーニ首相にイタリアをIMFの監査下におくと警告。8日、同首相は国会が緊縮策承認後の辞任を表明。テレビで彼は、どのレストランも満員と自慢していたが、給仕人によれば、ピザを二人で1枚注文する客が増えているという。
 サルコジ大統領とメルケル独首相がユーロの維持にやっきとなっているのは、ギリシャ、イタリア、スペインの次はフランス?とドミノ式にユーロ国が共倒れしかねないからだ。(君)