のみの市で掘り出し物、ビールで乾杯。
私はパリ郊外出身、今はブリュッセルのラ・カンブル美術学校の学生。南駅Gare du Midiから遠くない下町に住んでいるのだが、近くには毎朝のみの市でにぎわうPlace du Jeu de Balleがある。ここにはパリののみの市と違って思いがけない宝物がある。友人は、タンタンの『月世界探検』初版本を安値で見つけた。彼は銘柄ごとに形が違うビールのジョッキもコレクションしている。私は男物のしっかりとした綿のシャツとか帽子を探したりする。どれも5ユーロ前後。
歩き疲れたら,広場を囲むカフェのテラスに座ってビール!〈La Brocante〉の広い店内は、のみの市で収集されたキッチュなグッズで飾られている。ビールの種類も豊富、料理もシンプルだけれどおいしい。このカフェ脇から上がる通りRue des Renardsの6番地にブティック〈Foxhole〉がある。60〜80年代のビンテージの服やアクセサリーが中心で、教えたくないけれど婦人靴や毛皮のコートが安い。この通りには〈RestoBières〉もある。ビールを使ったベルギー料理が名物。ウサギと干しプラムの煮込みで、Cantillon醸造所のグーズを。
音楽や内装に引かれて流行に敏感な若者が集まるのは、最近オープンの〈Potemkine〉。映画館もある。外にはバスを改装したバーもあり、自転車で乗り付けることができて便利。ビール好きの友人と出かけるのはSaint-Gilles街の〈Brasserie de l’Union〉かな。50種類近いビールがあり、中には珍しいものも。客層はアーティスト、学生、時には政治家と広く、値段も手ごろ。友人でドラムを演奏するマニュは〈La Cave〉のジャムに出かける。地下の湿った店内には時には大麻の香りがただよい、さまざまなジャンルのミュージシャンたちが、夜明け近くまで演奏を続けたりする。そしてブルッセルのゲイの拠点〈Homo Erectus〉は私のお気に入り。ミラーボールが回り、ディスコ音楽が流れる。木曜のレジーナが音頭をとる女装ファンタジーは抜群。
Grand Placeに近い〈Théâtre royal de Toone〉も必見だ。1830年から続くマリオネット劇場だが、伝統を守りつつも現実をくみとった創作を重視。そのユーモア溢れるパロディに大人も大笑いできること間違いなし。付属するバーには多数のマリオネットが吊るされている。(ノ)
のみの市まで音楽が流れていく。
〈La Brocante〉の広い店内
ブティック〈Foxhole〉
ゲイの拠点〈Homo Erectus〉
〈La Cave〉
〈Potemkine〉
〈Théâtre royal de Toone〉のバーは、マリオネットが 吊るされ楽屋の ようだ。現在は 『Dracula』を上演中。