今年8月、フランスの駐車違反罰則金が25年ぶりに11ユーロから17ユーロに値上げされた。不法駐車天国である一方、罰則金を25年間も「据え置き」してしまったフランス。その背景には、いかにも歴史ある国らしい問題が絡んでいた。
大多数のパリジャンたちは、「駐車料金を半日払うより、路上駐車で罰則金を払う方が余程経済的」という。公共駐車場は大きな駅の近くにあるが、その料金は平均1時間3.5ユーロ、1日27ユーロ、一カ月250ユーロで、アパートの駐車料は毎月100〜250ユーロ程度。対する罰則金は前述の通りだから、なるほど路上駐車したくなる気落ちもわからないではない。
パリジェンヌのエレーヌに、フランスの駐車場事情や今回の値上げに対する私見を聞いてみ た。
「この程度の値上げじゃ正直、今までと変わんないわね。だって毎日警察が来て取り締まるわ けじゃないでしょう? 違反キップを切られたら、たまたまその時がアンラッキー。ほとんどの人が、きっと明日は警察官が来ないから大丈夫と思うわ。私は以前路上駐車でぶつけられたことがあるから、それ以来アパートの駐車場に停めているけど…実は駐車場付き物件を探すのは至難の業よ。それからパリは古い街だから、現在の車社会には適応してないの。道路に対して車が多すぎて、『パリにある車を全部パリの道路に並べたら収まりきれないって』以前ニュースで言っていたわ」
どうやら台数の限られた馬車などが主要だった時代に街が完成したため、道路や駐車場といった自動車用インフラが追い付けず、時が経つとともに違法駐車に対して、社会が寛容になっていったようだ。
とはいえ緊急時などのことを考えると、現状のままという訳にもいかないはず。今年に入ってから次々と有効な交通対策を打ち出している政府に期待したいところだ。(和)