テレビの真骨頂はドキュメンタリー。NHKで1957年から放映されていた番組『日本の素顔』はすごかった! 水俣病を『奇病のかげに』で知った。三井三池炭坑争議を取り上げた『三池』で炭坑の苛酷さを目の当たりにした。フランスには、今でもそんな社会派ドキュメンタリー番組が健在。中でも有料テレビCanal+の『Spécial investigation』が必見。
9月19日は、アルジェリアの山村ティビリンにあった修道院の7人の僧(いずれもフランス人で『神々と男たち』のモデル)の誘拐殺害事件の真相。
1996年に起こった同事件は、キリスト教徒を憎む武装イスラム集団GIAの仕業という考え方が圧倒的で、フランス政府もそれを黙認。ところが影の部分があまりにも多い。ジャン=バティスト・リヴォワールは、執拗な取材でその影の部分を探っていく。ティビリンで活動していたGIAのメンバー、今はモロッコやヨーロッパに亡命しているアルジェリアの元軍人、そして誘拐の実行犯などとのインタビューを通じ、真犯人はアルジェリア軍、という事実が浮かび上がってくる。修道僧は医療や傷の手当などを施したので現地のGIAからは嫌われていなかった。首謀者のジトゥニは軍のスパイで、彼を指揮したのは軍諜報部のトップにいたスマイン・ラマリ将軍。僧たちはブリダ市にあった諜報部内で殺害された。首だけしか見つからなかったのは,胴体には軍による拷問の跡が著しかったから…。フォーサイス顔負けのスリル!
この事件に関ったフランスの政界人たちはインタビューを拒み、この犯罪に相変わらず口を閉ざしたまま。(真)
*Canal+、月曜22h30くらいから。