絵本博士は言う、子供の心は宇宙のように無限大。その無限大の空間に、べべは生まれてすぐから、感じ、聞き、見たことを貯蓄していく。目には見えない心の成長は想像力とともに発達し、人としての土台を作る。テレビについての以前の記事で、話しかけが大切なことは書いた。まだ言葉の「意味」が分からないべべにとって、言葉が具現化され、かつ一方通行でない絵本は最高の方法といえる。
テレビから絵本にシフトすると決めてから数カ月、まず寝るときは必ず絵本で落ち着き、静かに寝入るという習慣がつき、夜泣きが減ったように思う。普段でも、本と同じシチュエーションになると本の内容について話すようになったことも驚きの一つだ。
TV中毒だったわが子が最初にとりこになった本が『Petit Ours Brun』(Bayard Jeunesse)。茶色のくまさんをとりまくおだやかな日常生活が、優しい色合いと簡単な文章で表現されている。目下、トイレトレーニング中のべべには、トイレで悠々と用をたす茶色のくまさんがヒーローなのだ。それから、ボタンを押すと音がなるLivre sonoreシリーズ(Gallimard Jeunesse)や、動物の毛に似た素材が触れるようになっている本など、聞く、見る、触るを可能にした未来本も大好きだ。
フランスでは簡単に日本語の絵本が手に入らないけれど、フランス語の絵本に日本語訳をつければ、とっさの時でも日本語ですらりと読んであげられる。フランス語の本にも同様にすれば、フランス人のパパにも日本語の本を読んでもらえる。問題は、最後のページから読むわが子のくせ。途中までくると、飽きたと言って次の本に手をだす。物語の始まりだから大切だよ、知りたくない? と促しても、結末を知っている彼にはもう意味がないようなのだ。はた、どうやって本の物語性を理解し、想像力(結末を想像するなど)を豊かにしようものか。かくいう私が、小説は結末を最初に読んでからスタートし、途中で「もう先は読めた」と放棄してしまうパターン。この親にしてこの子あり…か。(凜)